「介護を辞めたい。でも、辞めて何になるんだろう」
その問いに答えが出ないまま、転職サイトを毎日開いては閉じる。それを1年続けたのが、当時の自分でした。
この記事は、ビルメンに辿り着く前に頭にあったいくつかの選択肢と、それぞれをなぜ自分が消去していったかを正直に書いたものです。「次どうする」が決まらなくて動けない方に、当時の自分の頭の中を開いて見せます。
介護を辞めようと思った夜、頭にあった選択肢
辞めたい理由は単純でした。
「このまま続けても、将来が見えない」。男性介護職の離職理由のうち「将来への不安」は24.2%(令和4年度 介護労働実態調査)で、自分もその中の1人でした。
引き金は結婚です。
お金のことと、腰など身体面のことが同じ時期に不安として降りてきました。
「次の10年もこのままか」と思ったら、足が前に進まなくなったのです。
ただ、辞めたい気持ちと「次どうする」は別の問いでした。転職サイトには毎日ログインしていました。プロフィールも入れていた。けれど応募ボタンが押せない。1年、動けませんでした。
その間、頭にあった候補をそのまま並べると、こんなところです。
- 工場(製造ライン)
- 倉庫・物流
- 事務職
- 警備
- タクシー・配送
- ビルメン(設備管理)
「楽な仕事」でネット検索したらビルメンが出てきたのは、その時期でした。最初は半信半疑で、リストの一番下に置いていました。
それぞれの候補を、自分はどう消去していったか
ここからは、当時の自分が調べた範囲・聞いた話で抱いた印象です。各職種の実情は、その業界で実際に働いている方の発信を参照してください。自分はその業界で働いた経験がないので、断定は避けます。
候補と評価軸の整理
| 候補職種 | 自分が気にした点 | 消去・残した理由(自分の場合) |
|---|---|---|
| 工場(製造ライン) | 体力・夜勤シフト | 介護で体力が落ちていた。夜勤の組み方が介護と似て見えた |
| 倉庫・物流 | 立ちっぱなしの時間 | 「立ち続ける」が介護夜勤と地続きに感じた |
| 事務職 | 未経験採用・職歴 | 職歴が対人サービスのみで、書類が通る気がしなかった |
| 警備 | 立哨の長さ | 立ち仕事が長いと聞いて身体面で不安が残った |
| タクシー・配送 | 命を預かる責任 | 「人の命に直結する」プレッシャーから一度離れたかった |
| ビルメン | 楽そう/本当か疑問 | 半信半疑だったが「待機時間がある」が気になった |
消去の基準は「介護から何を引き継がずに済むか」だった
並べてみて、後から気づいたことがあります。自分が候補を消去していた基準は3つだけでした。
- 将来への不安(10年後の自分が見えるか)
- 身体への負担(腰と体力)
- 対人プレッシャー(命と感情のやり取り)
この3つから少しでも離れられる仕事を探していた。それが当時の自分が言葉にできなかった本音だったと、今は思います。介護のやりがいを否定したいわけではありません。同じ介護でも、自分とは違う形で続けている方がたくさんいます。自分には、いったんこの3つから距離を置く時間が必要だっただけです。
「もう別の職種にしようか」と思った夜のこと
ビルメンに絞ったあとも、まっすぐ受かったわけではありません。系列ビルメンに2社、続けて落ちました。
そのとき本気で、「やっぱり違う職種にしようか」と考えました。自分には何もできない、何も持っていない。職歴は介護だけ。資格もない。とにかく何かになりたかった。あの夜の気持ちは、今でも覚えています。
ここで諦めていたら、消去したはずの候補のどれかに、無理やり戻っていたと思います。受かるところに飛び込んでいた可能性が高い。それでよかったのかは、わかりません。
結局、独立系ビルメンに戻ってきた理由
系列で落ちたあと、求人の範囲を独立系に広げました。独立系に切り替えたら受かったのです。
面接で「正社員で雇いたい」と言われたとき、嬉しさよりも先に戸惑いがありました。そんな上手い話があるのか、と。自分を必要としてくれる場所がここにあるのか、と。
なぜ自分が受かったのかは、今でも完全にはわかりません。系列に落ちて独立系に受かった理由を、本人が言い切るのは難しい。ただ、結果として独立系の現場に入って、そこから今に続いています。
転職を伝えたとき、パートナーは喜びました。理由はお金です。結婚してからの将来不安を、2人で抱えていたのだと思います。
系列 / 独立系の応募結果(自分の場合)
| 区分 | 応募結果 |
|---|---|
| 系列ビルメン | 2社受けて2社落ちた |
| 独立系ビルメン | 切り替えたら受かった |
系列と独立系の違いはこちらに詳しく書いています:系列ビルメンと独立系ビルメンの違い。
自分にとっての適職は、消去法で残った場所だった
ここまで書いて、はっきりすることがあります。自分はビルメンを「これがやりたい」で選んだわけではありません。消去法で残った場所だった、というのが正直なところです。
それでも、消去法で残った場所が、自分にとっての適職になりました。
飲食のアルバイトを8年、介護を3年、そしてビルメン。落差のある3つを経てきたからこそ、今の仕事の気楽さが際立って感じられます。一言でまとめると、飲食はいい経験だったけれど本業にするには覚悟が必要で、介護は生活に余裕があればやりがいのある仕事で、ビルメンはお金は少ないけれどそれ以外が楽。気楽に生きるのに合っていました。
辛いのは、何も決められずに流されて頑張らないといけない状況に置かれることです。自分で選んだことなら、頑張るのはそれほど苦しくありません。消去法でも、選んだのは自分です。そこが大事だったのかもしれません。
介護職時代の自分に一言かけられるなら、「楽に生きる選択肢もあるよ」と伝えたい。これは「介護を辞めろ」という意味ではなく、「他にも道があると知っておくだけで、今日が少し違って見える」という意味です。
このテーマはこちらでもう少し深く書いています:楽な仕事を選ぶのは逃げじゃない|11年、人と関わる仕事をしてきた男の結論。
もし、選択肢を眺めるところから始めるなら
「次どうする」が決まらないと辞められない、という呪縛があります。当時の自分もそうでした。
ひとつだけ言えるのは、候補を眺めるだけでも頭の中が整理されるということです。応募はしなくていい。登録は退職ではない。求人を見る時間が、消去法のスタート地点になります。
自分が実際に使ったのはリクナビNEXTだけです。プロフィールを入れておけばスカウトが届く形式で、能動的に動けなかった当時の自分には、受動的に情報が入ってくる仕組みが合っていました。
レジュメを先に書いておくメリット
求人を眺めるだけでも頭の中は整理されますが、もう一歩だけ進めるならレジュメ(職務経歴・自己PR)を先に書いておくのがおすすめです。当時の自分は、これを後回しにして損をしました。
| メリット | 何が変わるか |
|---|---|
| 自分の経験が言葉になる | 介護で何を身につけたか、書いて初めて見える |
| スカウトの精度が上がる | プロフィールが空欄だと当たり障りのないスカウトばかり届く |
| 動けた瞬間に消耗しない | 1年動けなかった自分は、動けた瞬間にエネルギーが残っていなかった |
| 市場価値の手応えが見える | スカウト数や内容で「自分はどう見られているか」がわかる |
応募ボタンを押さなくていいので、レジュメを書く時間は転職の練習にもなります。書き終わってもピンとこなければ、そのまま閉じればいい。それだけでも頭の整理は1段階進みます。
リクルートエージェントや他のエージェント系サービスは使っていないので、詳細はわかりません。比較記事を読む方は、実際に使った人の体験を探してみてください。
ビルメンに絞った求人サービスの比較はこちらにまとめています:ビルメン転職おすすめ8選|独立系で働く30代が実際に使ったのは1社だけ。
まとめ
消去法で残った場所が、自分にとっての適職でした。あなたの消去法の結果は、別の場所かもしれません。
候補を並べて、ひとつずつ自分の中で消していく。残ったものが、たぶん今のあなたに合う場所です。
選ぶのは、自分です。
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